和鍼治療院の症例
腰痛の症例
70代男性 Yさん
掃除機をかけている時に、腰に痛みを感じる。
徐々に痛みがひどくなり、歩くことが難しくなる。
治療室に入ってこられた姿勢は、やや前にかがんだ状態で、右足が前に出にくい感じでした。
座ったり、立ったりするたびに、腰に激痛があり、ゆっくりと動作をする必要があります。
脈診の結果、消化器に問題があることがわかりました。
問診で、「胃に負担をかけるようなことはなかったか」お聞きしたところ、「最近、歯の状態が良くなくて、歯科で治療を受けている」とのことでした。
歯が悪いことで、よく咀嚼できていないことがわかりました。
背部の胃腧穴(胃の腑の状態が現れるツボ)に反応が出ていることを体表観察で確認。
お腹の中脘穴(胃の腑の状態が現れるツボ)にも反応があり、総合的に考えて、腰痛と胃の腑が関係していると診断しました。
足の三里穴と胃腧のツボに、順番に置鍼。
目的は、胃の働きを改善することです。
しばらく置鍼したのち、診療ベッドから起きてもらいました。
腰の状態を確認してもらうと、痛みが8割減少しているとのことでした。
前かがみになっていた姿勢も正常になり、歩くことに問題がなくなりました。
ベッドから立ったり、座ったりしていただいても痛みはありません。
腰をひねる際に、少しだけ違和感が残るようでした。
この時点で骨盤の歪みを確認できたので、続けて骨盤の矯正のための鍼をしたました。
その後、腰をひねることも楽になり、まったく違和感がなくなりました。
これで初日の治療は終了し、2日間、様子を看ていただいて、3日後に来ていただくことにしました。
二回目の治療の際、少しだけ痛みが再発しているとのことで、再度、体表観察で胃の状態を調べました。
前回よりもツボの状態は改善していましたが、やはり反応が残っているので、前回と同じツボを用いて治療を行いました。
今回も腰痛はすっきりと改善し、違和感は、全くなくなりました。
骨盤の歪みが消失しているので、経過をみていただくことにしました。
その後、翌週にお電話があり、すっかり腰の違和感が無くなったとのことでした。
腰痛というと、背中や腰の筋肉を痛めたことが原因と思う方が多いのではないでしょうか。
たとえ腰部に痛みがあっても、腰の筋肉疲労とは限りません。
むしろ内臓のバランスが乱れることで生じることの方が多いように思います。
単なる腰痛であっても、根本からきっちり治療することが大切です。
東洋医学の診断は、体表に現れる異常を独自の観察力によって把握することに優れています。
それによって腰痛の根本原因を診つけることができますから、確かな治療と養生指導が可能となります。
急性の腰痛でも、慢性の腰痛でも、東洋医学的な診断を受けていただくことをお勧めしています。