自然治癒力
自然治癒力について
自然治癒力について
野生動物は、怪我をしても傷口をなめるだけで治します。
手術を受けることも、薬をつけることも、包帯を巻くこともありません。
爬虫類には、トカゲのように尻尾を切り落としてもまた生えてくるものがいたり、サンショウウオのように足を切り落としてもまた伸びてくるものがいたりします。
人のような高等動物には、切断された手足が生えてくるほどの再生能力はないにしても、出血を止めたり、傷をふさいだり、削られた肌肉をとりもどしたりするほどの再生能力はもっています。
このような、動物や人が怪我や病気から自動的に元の状態にもどる力のことを自然治癒力と呼んでいます。
自然治癒力は、本来、生まれながらに備えている能力で、「生きる力」「生命力」「抵抗力」と置き換えて考えることも可能です。
そのため個人の生命力や年齢などによって、自然治癒力は左右されることになります。
自然治癒力には、出血を止めて、傷をふさぎ、元通りに修復する自己再生能力と、人体の外部から侵入してくる細菌やウイルス、内部で発生し増殖するがん細胞などを排除する自己防衛機能とがあります。
治癒に必要な自然治癒力と治療の関係
人類が病気から回復する手段には、自然治癒力以外に「医療」があります。
医療は、いつの間にか私たちの病を治すために不可欠なものとなり、ペットや家畜などの動物までもがその恩恵に与っています。
現在の日本においては、医療と薬こそが治癒の主役となっていて、自然治癒力は脇役であるという誤った考えをお持ちの方が多いのではないでしょうか。
少し視野を広げて世界を見てみると、アメリカ栄養研究所のゲーリー・ヌル博士による2004年の論文には、薬の副作用による死者は10万6千人であるとあります。
医療によって病が重くなることを「医原病」と呼ぶそうです。
薬の乱用や不適切な服用によって、多くの方が医原病で苦しんだり、亡くなったりしているのです。
米国家保険局の調査(2007年)によると、アメリカ国民の成人のうち38パーセントが一年以内に代替医療を試みて、8300万人が代替医療を利用し、3兆4000億円の医療費を支払っているそうです。
代替医療とは、西洋医学以外の医学や医療のことであり、東洋医学による漢方・鍼灸・気功・指圧、アーユルヴェーダ、アロマテラピー、ハーブ療法などがこれにあたります。
医原病に気づいた人たちは、高度に発達した現代医学よりも、自然治癒力を取り戻すことに気を配るようになりつつあります。
代替医療の特徴は、自然治癒力を高めることにあるからです。
現代医学は優れたところも多いのですが、すべての病気を治せると思うことは、非常に危険であると思います。
西洋医学には西洋医学のすばらしい特徴があり、東洋医学には東洋医学のすばらしい特徴があります。
どちらの医学が優れているという話ではなく、それぞれの医学の特徴を知っていただいて、正しく治療を選択し、健康を取り戻していただくことが必要な時代にさしかかっているのです。