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小島 秀輝

四百四病 弐 西洋医学と東洋医学の病の見方


東洋医学と西洋医学の比較

私は東洋医学を習得したことで、「病」や「症状」に対する考え方が大きく変わりました。

日々、治療を行う度に、西洋医学との考え方の違いを実感しています。

「西洋医学」と「東洋医学」の違いはどこにあるのでしょうか。

病気への考え方や治療方法へ理念に違いがあるので、少し視点を変えてご紹介したいと思います。


病にかかると、「闘病」の言葉がよく使われます。

私たちはあまり気にすることなく、「病とは戦うもの」であると考えています。

確かに、人類の歴史は、感染症との戦いでした。

コロナウイルスの感染は、人類にパンデミックへの冷静な対応という課題を残しました。

約100年前にもスペイン風邪の大流行がありましたが、その教訓を活かすことができたのか、真剣に検証しなければなりません。

古代ローマや中世ヨーロッパでは、ペストが流行し、多くの人々が犠牲になりました。

当時は病原菌の存在は知られておらず、当然、抗菌薬もありませんでした。

当時の人々にとって、感染症は正体不明の病であり、その治療は生命をかけた戦いであったことは想像に難くありません。

顕微鏡の使用によって病原菌と抗菌薬が発見されたことで、人類は病の正体を明らかにし、敵と闘える薬を手に入れたことになります。

それはまさに「鬼に金棒」のごとく、医学の進歩に貢献し、不治と思われた病から多くの人を救うことに貢献しました。

新たに誕生した薬(抗菌薬)は、使用目的や利用方法において、アジアで用いられた「生薬を使う漢方薬」と異なります。

ヨーロッパで作られた抗菌薬によって、西洋医学は「闘病」という医療へと邁進していきます。

結果、20世紀、ワクチンの開発・進歩により、1980年に天然痘を根絶します。

このような特効薬の成功は、医療の役割を「病に勝利すること」へと決定づけたと言えるでしょう。

そもそも現代の西欧思想は、「人間は本来健康である」ということに根差しています。

それゆえ、病気は外から攻めてくる悪魔のような存在で、薬などの武器を用いて正面から敵対し、病が消え去るまで闘うことが使命となっています。

「闘病」という姿勢は、病原菌やウイルスが存在する限り、無くなることはないでしょう。

しかし、残念なことに、病原菌の進化は人間の想像をはるかに超えて強靭で、速いことが判明しており、耐性菌の増加やワクチンの開発が追い付かないことがそのことを証明しています。

そして、病に関して忘れてはいけない重要なことがもう一つあります。

それは病が外部から侵入してくる伝染病だけではないということです。

西洋医学では、内部から生じる病の原因やしくみに関して「原因不明」と明記されることが多いのが現状です。

原因がわからない病気に果たして勝ち目があるでしょうか。

そこで問題です。

T67.0

この番号の意味がお分かりでしょうか?

答えは、「熱射病および日射病」の病名コードになります。

二十四節気では、小暑、大暑と、これから本格的に夏の暑さを迎えます。

それに伴い、T67.0の罹患数が増えることが予想されます。

A05、この場合は細菌性の食中毒のコードになります。

コンマ以下を加えることで、ボツリヌス菌中毒(A05.1)や腸炎ビブリオ食中毒(A05.3)のように分類します。

このようなコードは、国際疾病分類(ICD10)によって決められていて、疾病の統計などに役立てられています。


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