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小島 秀輝

夏至


日本では、2024年6月21日(金)、夏至を迎えます。

夏至とは、一年で最も昼間の時間が長くなり、夜が短くなる頃のことです。

今年は梅雨入りが遅れていますが、この日から近畿では雨がまとまってふる予報です。


その初候は「乃東枯る(なつかれくさかるる)」

乃東(なつかれくさ)とは、「夏枯草(かごそう)」の古い名で、紫色の花が咲く「靭草(うつぼぐさ)」の漢方名でもあります。

花の形が弓矢を入れる「うつぼ」という道具に似ていることから和名がつきました。

その花穂は、昔から洋の東西を問わず、生薬として役立ってきました。

花穂を煎じて飲むと、利尿や消炎作用が期待できます。

また、煎じた液をうがい薬に使ったり、捻挫や腫れ物の塗り薬として使ったりできます。

西洋では「all-heal」、つまり「すべてを癒す」という英名で呼ばれています。

「冬至に芽をだし、夏至に枯れる」という季節の節目を知らせる花としても有名です。


次候は「菖蒲(あやめ)華さく」

菖蒲の花が咲くことが、梅雨の到来の目安とされていました。

この頃、「夏越しの祓(なごしのはらえ)」の行事があります。

茅草(ちぐさ)で作った輪を立てて、「茅の輪くぐり」を行います。


末候は「半夏(はんげ)生ず」

夏至から数えて十一日目を「半夏生(はんげしょう)」と言って、田植えを済ませた農家の人が休息を取る日でした。

香川県では田植えを手伝ってくれた人たちに、うどんをふるまい、労をねぎらう習わしがあったことから、7月2日を「うどんの日」としたそうです。

「半夏(からすびしゃく)」の名をもつハンゲは、体内の余分な水分を取り除く作用があり、痰を消散させるために使います。

雨の多い季節に「燥湿化痰」の薬草が芽吹くのは、とても不思議な感じがします。

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