コロナウイルス3
感染予防 ワクチンへの期待は正しいのか
2020年3月11日にWHOのテドロス事務局長が「パンデミック」宣言を出しました。
各国政府は感染拡大抑制の対応で、イタリア、スペインなどでは非常事態宣言を出しています。
しかしながら今までの様子を見てみると、上手にできているとは言い難いように思えます。
今までの感染の歴史を振り返ると、ウイルスの感染を予防することの難しさがわかります。
例えばコロナウイルスと同じで、上気道に親和性を持つインフルエンザウイルスの場合、ワクチンを開発して臨床で試してみても感染を防ぐことはできていません。
現在でもワクチンの有効性を期待する声があることを知っていますが、インフルエンザのワクチンの歴史を知ることが重要です。
かつて、小中学校で一斉に行われていたのがインフルエンザのワクチンです。
当時、ワクチンを接種していた世代は、子供を持つ世代になりました。
かつて「流行性感冒」という名前で呼ばれたインフルエンザは、現在も世界各国で毎年のように流行する特徴があります。
それを防ぐため、日本では全地域の学校でインフルエンザワクチンの集団接種を1962年から続けてきたのですが、1994年に消えてなりました。
ワクチンを受けた世代には、どうして幼稚園や小学校でワクチンの集団接種を行わないのか疑問に思う人もおられることでしょう。
子供が幼稚園に通っていたころ、父兄によるワクチン接種の嘆願書を見たこともありました。
なぜ、ワクチンの集団接種が学校から消えたのでしょうか。
きっかけは1974年、ワクチンの接種後、小学校5年生の子供さんがけいれんを起こしたことです。
このことを問題視した前橋市は、ワクチンの二回目の接種を中止します。
次に「けいれんの原因はワクチンの副作用ではないか」ということを国に申し入れます。
それに対する国の対応は冷ややかなもので、「予防接種に起因するものではない」との回答のみでした。
そこで前橋市は市独自で救済措置をとり、小中学校の集団接種を中止しました。
さらに前橋市医師会を中心に構成されたインフルエンザ研究班がワクチンの疫学調査を開始します。
1980年から約6年間にわたる調査の結果、「ワクチンの接種地域と非接種地域において、インフルエンザの罹患率、超過死亡などに違いが認められない」という結論に至ります。
この調査結果の後押しもあり、1992年から94年にかけて、インフルエンザの副作用被害者が起こした訴訟に次々と判決が出ることになります。
その結果の内容は、国の過失責任が認められ、副作用被害者の勝訴でした。
同年の1994年に予防接種法が改正されることになり、インフルエンザは予防接種法の対象疾病から除外されることになりました。
1962年から約30年間以上続いたワクチンの集団接種が終わりを告げたのです。
ワクチンの集団接種が学校から消えた理由がわかってもらえたでしょうか。
ワクチンがあれば感染拡大予防になるかどうか、それすら疑ってかかる必要があります。
「目に見えない敵」を正しく知ることは容易ではありません。
自らの命を守る術を何かに頼るだけでは防ぐことはできないのです。