明日のあなたをつくるもの
2022年の9月からPOWER OF FOODさんのお店をお借りして、東洋医学の講座を開いております。
店主の吉田奈麻さんは、大和当帰をこよなく愛しておられます。
すっかり惚れ込んでしまったことで、人生をかけて当帰を多くの方へと届けることに情熱を燃やしておられます。
東洋医学は鍼灸だけでなく、漢方の考え方にも活用されていることから、以前から私も当帰の効能には大変興味がありました。
それが吉田さんと出会い、奈良は当帰の産地として昔からゆかりがあることを知りました。
それまで当帰の根の部分だけを生薬として使うと思っていたのですが、葉の部分を使用して製品開発されていることに感動しました。
当帰の葉は2012年に医薬品の扱いから除外され、普通に食しても良いことになりました。
吉田さんは薬膳を学んでおられて、2015年にPOWER OF FOODを開店。
飲食を中心とした健康事業へと踏み出し、ますます精力的に活躍されています。
当帰の葉は香りが強く、ハーブのようにサラダにして食べても美味しいですし、お味噌汁に入れても風味が変わって楽しく食すことができます。
お店ではその香りを活かして、お茶やふりかけなどを開発し、商品として販売されています。
もちろん、店内で飲食できる薬膳料理の開発にも力を入れていて、お昼の時間帯に行くと、当帰をいろんなアイデアで用いたランチやデザートを楽しめます。
当帰の良いところは香りだけではありません。
その根が生薬として使われるとおり、葉にもその効能が十分にあります。
根には、血を補ったり、血の巡りを良くしたりする効果があることで有名です。
服用するとポカポカと温もることから冷え性の改善になり、女性の健康を支えるためにとても重宝されてきた歴史があります。
葉の薬効には少し疑問があった私ですが、妻が作ってくれた当帰の葉を入れた味噌汁を飲んで、考え方が180度、変わってしまいました。
まず、口に入れたら香りを楽しむことができ、胃の中に入ると、体内で温もる強さの違いを感じました。
さらに食後、時間が経過しても、しばらく身体の温かさが持続しました。
試した生薬は、それまでもいろいろありましたが、生の食材からこれだけの効果を感じたことは無かったように思います。
さらに当帰の葉の効果を実感したのが、「ちになるシロップ」です。
今年の夏、暑さでバテバテの頃でしたが、シロップをサイダーで割って、そこに氷を浮かべて提供してくださいました。
この時、初めて飲ませていただいたのですが、胃が冷えるかなと少し思って飲んでみました。
ところが、店内でいただいたそのドリンク、のどごしは冷たくて身体の熱を取ってくれ、胃の中に入るころには中からほんのり温もり出したのです。
冷たいものを飲食し、すっかり消化機能が弱っていたのですが、働きが低下している胃を助けてくれるくらいの効果を感じました。
「ちになるシロップ」には、消化機能を高め、体内から温まる効果があります。
生姜と当帰の相性はバツグンで、国産レモンの果汁が爽やかさを演出します。
このシロップは、奈良県の大和当帰のサイトの中で、活用商品としてラインナップされています。
吉田さんが生産者の方と製造会社の方と共に作り上げた素晴らしい商品だと思います。
彼女の情熱の結晶、是非とも一度ご賞味してください。
お店のテーマである「明日のあなたをつくるもの」、つまりそれは「医食同源」。
「体と心の声に耳をすまして欲しい」という吉田さんの想いは、東洋医学そのものです。
自ら薬膳のセミナーで講師の経験もお持ちですが、現在は、いろんな方との出会いからさまざまな講師の先生を招いてセミナーを開催されています。
このような活動と参加される方の関心の高まりを見させていただき、鍼灸治療の臨床から学んだ東洋医学の叡智を広く知って欲しいと強く想うようになりました。
そんな私を感じてか、お店での講義を依頼してくださいました。
治療院では、患者さんと東洋医学のことを普通に話していますが、どの方も初めて聞く内容ばかりなので、すぐに理解してもらえないもどかしさを常に感じています。
前回の講演では、西洋医学との臓器との違いを説明して欲しいという要望がありました。
これ一つとっても簡単に答えることが難しい内容で、形あるものを臓器とした西洋医学に対し、機能と働きを先に考えた東洋医学の「臓腑と経絡の考え方」には、大きな隔たりがあります。
薬膳でも、治療でも、東洋医学を用いる場合、やはり基本となる「気」のことを知っていただくことが大切であると思います。
東洋医学を学んでもすぐに治療として用いるのではなく、養生として活用していただくことが日常生活における嗜みではないかと考えています。
臨床から学んださまざまな身体の不思議をみなさんと共有できたら幸いです。
それを通して、東洋医学のより深い部分を学んでいただき、養生に活かしてほしいと心から願っております。
経絡やツボの話も取りれた「体操や指圧の講義」も開催予定ですので、まずは東洋医学の基本を学びに来てください。
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