風邪の予防
現代医学では、風邪の原因が口や鼻から浸入するウイルスであることがわかっています。
その点に疑う余地は無く、マスクをすれば予防や拡散防止になると考えるのも当然です。
一方、東洋医学では、風邪は首の後ろや背中から浸入すると考えます。
風邪の引き始めに、その辺りに寒気を感じた記憶があるのではないでしょうか。
この寒気を上手に取り除くことができれば、初期の軽い段階で治癒することができます。
身体には約360個ツボがあり、それぞれの名前には特徴があります。
後頭部から首の付け根付近に「風池」や「風府」、肩甲骨の内側に「風門」といった具合に、「風」が付くツボが上半身の背中に集中して存在します。
また手首付近には、「外関」というツボがあり、やはり外からの悪い気が入りやすいことを意識して、関という字を当てています。
中国でも日本でも、戦国時代には関所は国を守るための重要な要でありました。
昔の賢人たちは、この辺りから風邪が入ると考えていたことを伺えます。
「風」がつくツボ周辺に、温熱カイロを貼るだけでも、悪寒が和らぐことがあります。
しかし、上半身だけを温めると全体のバランスを崩すことがあるので、風邪治療として勧めることはしておりません。
風邪予防としては、マフラーや襟袖の長いもので、首や背中を冷やさないようにしたり、風を直接当てないようにしたりすることが大切です。
首の周りが大きく空いた服や、手首・足首が出る服は風邪が入りやすいので、肌寒いときはとくに控えることが重要です。
「首」の字が付く場所は、常に冷えないようにガードすることをお勧めします。
私たちの体表には「衛気」という、文字通り身体を外敵から守る気がながれています。
そのため、風邪は皮膚から浸入するという考え方が東洋医学にはあります。
「肺は皮毛を主る」とあり、皮毛とは皮膚・汗腺・産毛・粘膜などを包括しています。
皮膚から浸入した風邪によって肺に影響がおよび、咳の症状になると考えます。
古来より、寒風摩擦が風邪予防に推奨されてきたのは、肌を鍛えて、衛気を強固にし、風邪の浸入に備えたからです。
マスクに頼ることも良いのですが、風邪を引きやすい方には寒風摩擦がお勧めです。